恋人遊戯
だったら、少しでも落ち着ける所、図書室へと向かう。
今日は幸いにも図書室の当番だったから駆け込み寺には、ピッタリだわ。
…まぁ、正直に言えばあの先輩が会話をしていた所になんて行きたくないんだけど、他に行く場所なんてないんだけどね…。
溜め息を吐きながら、廊下を歩いていると渡り廊下の向こう側にいる樋高先輩がいる事に気付いて私は体を硬直してしまった。
「里莉? もう帰るのか?」
先輩が私に気付いて、少し慌てた様子でこちらにやって来る。
それが、何かに追われているような感覚になった私は、図書室へと逃亡する。
「里莉!?」
私を呼び止める声を背中で受けながら、あの時の会話が頭から離れない。
ーー…櫻井里莉と1ヵ月以内に寝たら俺らの勝ちだ。
あの人は、知らないんだ…。