恋人遊戯
だからどんな顔をしていたかなんて、知らなかった。
「…何だよ…。3万って……」
「先輩、賭けごとの会話は周りに気を使った方がいいですよ」
しらばっくれるみたいだけど、私はもうこれ以上先輩と一緒にいたくなかった。
「…そんなのいらない…」
「………………え……?」
先輩の言ってる意味が分からなくて、私は咄嗟に顔を上げてしまった。
真剣な顔…。
でも、逆光で先輩が本当に真剣な顔をしていたかなんて言いがたかった。
けど…明らかにさっきまでの凍り付いていた空気ではない事は確かであって…。
「そんなもんいらない…」
な、何で…。
分からない。
先輩の事が余計に分からなくなって来た。
「俺、欲しいのは里莉だけだから」
ハッと気付いたら、私は先輩に本棚に体を押しつけられて、キスをされた…。
やだ…。