恋人遊戯
背の高い翔嘉さんの背後に隠れるように…。
「だ、大丈夫?」
「ぅ、うん…」
本当ならお客さんに背中を見せるのはダメなんだけど、この際そんな事ウダウダ言ってられないわ!
そう言ってたら、お客さんがワラワラとレジがあるこちらのカウンターへくる。
トレーに乗った大量のパンを頭に叩き込んだ値段をレジに打ち込みながら、ビニールに入れていく。
最初の頃は、値段もなかなか覚えられなくて、おまけにビニールの出入り口が開かなくって大苦戦をしてたんだけど、今では手慣れてサッサッと手早く作業をする事が出来る。
けれど、今の私にはそれをしながらも視界の端にはいる先輩が気になってしまっていた。
でも、先輩は一度も私を見る事もなく、バレた様子がない。
…もしかして…バレてない? ならラッキー!!
ってか、早く用事すませて出で行ってほしいなぁ…。
「里莉さん。悪いけど、中でサンドイッチ取ってくるから」
一通りお客さんが引いた時に、翔嘉さんが作業場である中に入る事になる。私は嫌とも言えず、コクンと頷くだけ。