恋人遊戯



だから、言ってほしいって思ったんだけど、一向に言ってくれる気配が無くて、ワザと早退の事に触れたら…里莉の触れたくない所に触れたのかな…? でもやっぱり何も言ってくれなくて、俺は少し寂しいって思ったんだ。





でも、里莉は「親が子を選べないように、子供も親を選べない」って言葉が俺の中にズシッと重みを増してのし掛かった。



同時に里莉の事がどうしようもなく愛しくって、保護欲を駆り立てたんだ。


誓いを新たに思っていた。あの日、ようやく自分の株を上げて里莉を守れるってチャンスが巡って来たけど、もっと早く駆け付けたかったな。



ボロボロに切られた長い髪が、無残にも地面にバラまかれて頭から水をかけられた姿を見た瞬間、相手が男じゃなかったから手は出なかったけど、もし男なら顔の形が変形するまでボコってたさ。




その後、太一って奴に俺には見せた事がない笑った顔を見せつけられた時、俺は相当焦ったね。



嫉妬なんて男の恥だ。何て思ってたけど…あれ、関係ないや。男だろうが女だろうが、好きな奴が自分以外に笑ったり何かすると、あんなにも醜くなるんだって理解したよ。



特にメイクされた時のギャップ!! あれにはタマゲタよ。さすがに、メイクを操る人間って、どうやったら相手がきれいに引き立つかお手の物だ。



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