恋人遊戯
思わず、目を逸らして先輩を視界に入らないようにした。
…だけど、運転席に乗っていたはずの兄さんが冷たい視線で私を見つめる。
熱い視線と冷たいし視線…正直両方とも苦手…ううん。簡単に苦手と言葉より…怖いと言うのがピッタリだ…。
「……ちゅ、注意してきます」
「時間がない。3分以内にすませろ」
ゆっくりと車から降りて門に近付く私。
…大丈夫? ちゃんと無表情でいられてる?
「……里莉」
う…。そんな捨てられた子犬みたいな目で、私を見ないで下さい!
一瞬、視線を逸らして呼吸を何度も整える。
「…朝起きたら、お前がいなかったの…驚いた」
「はぃ…。すみません」
頭を深く下げて、先輩を見て私は何も言えなくなる。