恋人遊戯
悲しげで…でも、どこか怒りが見え隠れしてる。こんな先輩を見た事がなくて、戸惑っていると…。
「俺、覚悟決めた…。里莉も覚悟、決めろ。俺と来るか、兄貴と生きるか」
「先輩と?」
「俺は、お前を幸せにしたい。お前は、どうなんだ? 兄貴の後ろにずっといたいのか?」
…そんな事すれば、私は兄さんに恩を仇で返してしまう。
あんなどん底の私を助けて、住む所を与えてくれた…。そんな事、裏切れないよ…。
「…お前は、兄貴のために自分の人生をここで終わりにするのか?」
先輩の真剣な目が私の弱い所をついて来る。
どうして、先輩は私の弱い所をついて、最後には助けてくれる…。
それが嬉しくて、先輩にもう一度会えた事がもっと嬉しかった。
「…ご、ごめんなさい……。もう、来ないで下さい…」
息が詰まりそうなのを堪えながら、先輩に訴える。