恋人遊戯
もう、胸の中に先輩への想いが溢れて、溢れて苦しい…。私、何でこんなに先輩の事が好きなんだろう。
だまされたって分かっても、バイトをしてる所をバレて脅されても…好き。
好きなんです…。
でも、一緒にいられないんです。
「帰って下さい…。私、お見合いをするんです。そのまま、結婚…します」
言い切った後、酷い脱力感を感じて、そのまま先輩の顔を見ずに兄さんが待つ車に走った。その時、先輩がどんな顔で私を見ていたのか分からなかった…。
車に乗り込んだ私は、それまでに涙を拭い、何でもない顔を繕った。
身も心も、全て凍りのようにして私は車に乗り、先輩の事を思い出さないように意識をする。
そうしないと、兄さんの前でもグズグズしてしまう。そんなみっともない姿をもう、晒したくない。