恋人遊戯
「そ、それが若い男性の方でして…」
「もういい、行けば分かる事だ。里莉行くぞ」
グイッと腕を引っ張れてしまい、体が後について行くと言う感じになってしまう。
兄さんの手が私の腕に食い込むように、痛みが走り眉を潜めてしまった。
あまりの痛みに、一瞬後ろに身を引いてしまいそうになりながらも何とか、兄さんの後をついて行く。
たくさん人がいる所ではなく、奥の個室へ進んで行く。
個室の中でも奥の方で、VIPが使用するような所に連れて行かれる。
…こんな所でお見合いするの? い、いくら新堂先生とお見合いするからって重々しい喫茶店(こんな所、喫茶店レベルじゃないわ!)で、お見合いだなんて!
奥の重たそうな扉を開けた先には白い壁が広がっている。
その白い壁が眩しくて、思わず目を細めてしまった。
「お前ッ…」
兄さんの怒号に近い声に、私は『誰?』と疑問になって前に出ようとしたら遮られてしまった。兄さんにこれ以上、進むなと言われているような感じで引き止められてしまった。