恋人遊戯
「今は、明治時代じゃねーんだよ! 好きな奴同士が付き合わないのっておかしいじゃん!?」
「……俺たち上流階級になると、好きだけではどうにもならないんだ!」
「それをどうにかするのが兄貴だろッ!? 半分とは言え、血が繋がってんだぞ!!」
「…俺の家の事だ。お前には関係ない」
掴まれたままの腕が痛い。それと同時に胸が痛い。
私はちっとも兄さんの役に立っていない上、先輩にも迷惑をかけている。
私はトコトン人に迷惑をかけてしまう人間だ。
死んだお母さんも、お父さんもそう思ってたんだ…。
わたしなんていない方がいいんだよね。
目の前で口論する兄さんと先輩を見ながら、いつの間にか…目まいを感じ出した。
クラクラする頭が異様に重い。
とにかく足に力を入れようとするけど、痺れのような小さな痛みが走って立っていられない。
そのまま、絨毯に吸い込まれるように倒れながら、私は意識を手放した。
けど、目を覚ました時…別の真実に私は闇の突き落とされた。
兄さんが先輩に言った一言。
「里莉は、俺とは血は繋がっていない。…一滴も…」