恋人遊戯
あの頃のお母さんは、いつも何かに怯えていたように覚えている。
何で私を墜ろさなかったの? 産まなきゃ良かったんなら…墜ろしてよ!!
今まで生きて来ても楽しい思い出もなかった。
必死で勉強しても、褒めてもらった事なんてなかった。いつも、何とも言えない顔で私を見るだけ…。
倒れたお父さんにも私だけ会わせてくれなかった。…それは、…私だけ、血が繋がってないって言う理由だけ…。
けれど、正当な理由。
兄さんが私を疎ましそうな顔をするのも、それが理由でも正当の話だわ…。
誰にも求められなかった私。
その場に座り込み、ワンピースに泥が染み込んでしまうのもお構いなく私は雨と同じように泣き出した。