恋人遊戯
「太一君…」
「んな顔すんな。ちゃんと話してやるから…風邪ひいたら、イヤだろ?」
そう言って、あらかたふいた私をお風呂場へと押しやった。
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お風呂から上がったら太一君のジャージを着て、フローリングをペタペタと歩き出す。
「…太一君…」
「…………分かってる。何から話せばいいか、ちょっと悩んでた」
滅多に吸わないタバコを咥えて、深い溜め息を吐いて私の顔を見つめる。
「俺、お前の顔が伯母さん似で良かったって思ってる」
「…そう? あんまり記憶ないけど、お母さん…私の顔見て、あいつと同じ目で見るなって言ってたよ?」
その瞬間を見逃さなかった。私の顔は、どうやら見た事もない父親似らしい。