恋人遊戯
「お母さんの高校生姿、始めて見た」
父親と仲良く並んでる姿なんて、産まれる前に崩壊してしまったから、始めての二人のツーショットなんて夢のまた夢だったから、何だか嬉しい。
紺色の上着に緑色のリボン。茶色のチェックスカート…。
「……………この制服……」
お母さんが着てる制服が、見た事があるなって思ってたら…。
私の学校の制服なんだ。
「親父の考えていた事らしい。まともに卒業出来なかった母親の変わりにせめて、里莉が卒業したらって考えていたみたいだ。もちろん、あの学校に行く事にマイナスにはならないとも俺も考えていた」
同じ学校。同じ制服。
写真の中のお母さんは、少し恥ずかしそうに父親と一緒に写っている。
恥ずかしそうに…、でも幸せそうに笑う顔は、今まで見た事がない。
「私、父親似だって言われた事があるの。そんなに、似てるのかな?」