恋人遊戯



私は今まで兄さんの存在が怖かった。今でも怖いって気持ちはあるけど、心から嫌いって思っていない。




お母さんの事だってそうだもん。存在は怖いけど、嫌いじゃない。むしろ、好き。





「お前は、新堂と結婚する気はないのか?」






突然、言われた言葉に顔を上げて、真っ正面にいる兄さんと目が合う。


いつも返答に困る質問。いつもなら、兄さんの意に添うように答えるけど…。




兄さんの目は真剣そのものだけど、その瞳の奥は少し違っていた。



自分の気持ち…言っていいのかな…?




「………お前の本当の気持ちを知りたい」




「……私、の?」



私の気持ち。



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