恋人遊戯
…幸せを願ってる兄さんは、新堂先生のお見合いを進めて…私自身は、先輩といたいって思うのは…イケない事なの?
「余計な事を考えるな。お前が一番最初に思った事を言え」
ウジウジと悩んでいた私に一喝した兄さんは、テーブルに置かれたままのコーヒーを一口飲んだ。
「……………ゎ…私、は…兄さんも、香輝も嫌いじゃ、ない…。お父さんや兄さんに嫌われたくない一心で、さ…櫻井家の…顔に泥を、塗らないように……でも、頼り切っちゃダメ、って……何度も自分に、言い、きかせて、た…」
ボロボロと落ちる涙を拭く事もせずに、ただ、溢れ出る言葉を必至になって兄さんに話す事だけをしていた。
言葉も詰まらせながら、聞き取りづらかったかと思うけど、兄さんは私の話をずっと聞いてくれた。
「……私、兄さんの、言う事を、聞いてれば…いいんだっ、て思っ、た…けど違う…って気付い、た…の…」
誤魔化せないし、正直でいたい。