恋人遊戯
ポンポンと、私を落ち着かせようと先輩が背中を軽く撫でるように、叩いてくれた。
先輩が私に、勇気を分けてくれているように思い、一度深呼吸をしてゆっくりと話を始めた。
先輩がいてくれるから…今の私がいる。
「…わた、私………新堂先生と…結婚、出来…ない……」
言い切った後、零れていた涙はより一層、激しく流れ落ちて行く。
ごめんなさい。
こんな自分を育ててくれたお父さんや兄さんをこんな風にしか、返せない事が自分で許せない。
「…………分かった。全て、白紙に戻す」
そういって兄さんは、ソファから立ち上がって部屋を出て行った。
「…お前のしたい事をしろ。俺は、もう反対をしない…」
そう言い残して、扉を閉めて兄さんの姿が見えなくなった。
「…里莉…」
「せ、先輩…。ご、ごめんなさい……涙が、止まんない…」