恋人遊戯
零れる涙を押さえ込もうとするけれど、全然止まってくれる様子はなくて…。
「泣けよ。辛かったんだろ? 思いっきり泣けばいいさ」
「私、色んな人に迷惑ばっかりかけてる…。最後の最後には、兄さんの期待にも応えられない」
やっぱり、間違っていたのかな? 自分で自分が分からなくなる。
そう、思っていたら自分の体が、何か暖かいものに包まれた。
「いーんじゃねェ? 兄貴も言ってただろ。好きにしろって。里莉は自分を押さえ過ぎだって」
先輩の腕の中に納められて、私の後頭部を優しく撫でてくれた。
「あれって、ちゃんと里莉を一人の人間って認めてくれたんだよ」
「………そう、かな?」
「…里莉は手紙を読んで、気付かなかったかも知れないけど…あの人、ずっと優しそうにお前を見てた。俺、ちょっと嫉妬しちゃうぐらいにな」
優しく笑う先輩に、さっきまでの不安でいっぱいだった気持ちが一気になくなって、少し嬉しくなる。