恋人遊戯
「……ぁ。あの、先輩…今、思い出したんですけど。あ、あさみ……さんの事…」
「ん? 何だ…ょ? って、あさみさん~?」
私の両肩を掴んだかと思うと、目を丸めて見下ろした。
「何でお前さんが、礼子さんの事を『あさみさん』って…」
ただ、先輩は私を信じられないモノを見るようにしていたけど、一度視線を逸らして小さく溜め息を吐いた。
何?
「せ、先輩? どうしたんですか?」
「礼子さんは…、気に入った子にしか本名を言わせないんだよな」
ちょっと、うんざりげな顔をして私の額と先輩のそれをコツンと当てて、目を合わせた。
…ドキドキする。心臓の高鳴りが、静まらない。
「……もう、どこにも行くなよ…」
「で、でも、先輩」
「明日、イヤもう今日、礼子さんはマスコミに発表してるはずだな」
ギクリと、体を強張らせた。