恋人遊戯
私の目を見ながら言う兄さんの顔は、冷たい言い方ではなくてどこか優しいモノに感じた。
「……で、でも、香輝の事だって!!」
「香輝の事は大丈夫だ。俺にまかせろ」
そう言う兄さんに、これ以上何も言えなくて、言葉が出なくて押し黙っちゃう。
「香輝の世話は、アメリカにいる間は俺が見るから安心しろ」
「兄さん…。でも、仕事も…忙しいのに…」
「構わない。俺は構わない。お前は学校を卒業をすればいい」
兄さんにそう、言われてしまったらそれに従うしかない。
「はい…」
香輝が無事に退院して、ここに戻って来るのを待てばいいんだ。
ここで一人で…。
「学校の方には、退学は取り消してもらった。…それと、アパートの方はどうする?」
「…ぇ…? ア、アパート…は、…の、残して下さい!!」