恋人遊戯



「あの…あのー…ね? 願掛けだったの…。香輝の病気が治って、髪を切ろうって…思ってた」




まさか、こんな風に切っちゃうなんて思ってもみなかった。






「…そっか…」



ナデナデ。


頭を撫でられてしまい、ちょっと…かなり動揺してしまう。


先輩に頭を撫でられる度に動揺してしまって、思わず目を瞑って顔を俯いてしまった。






…だって、慣れないんだもん。頭なんて撫でられた記憶ないから、緊張してしまう。






「そー言や、明日だっけ? 兄貴たちがアメリカに行くの」



「はい…」


あれから兄さんにバイトは行かなくていいって言われてしまい、正直何もない毎日をゴロゴロとすごすのも不健康に思う。





今までなら香輝がいたから、バイトがない日は病院へと足を向けていた。



< 229 / 283 >

この作品をシェア

pagetop