恋人遊戯
…う…。い、嫌味言わなくたって…。
「………い、一方的に、婚約を…破棄して…すみません……」
頭を深々と下げて、先生に謝る。
これしか私には出来ないもの…。
私が、一方的に婚約の話を打ち切って、先輩と付き合う事になったし…。…うん、私が全部、悪いと思う…。
「…わ、私の、我がままで、婚約を破棄して…すみません…。ごめんなさい……」
謝って、許してもらえるとは思わないけど…それでもやっぱり、謝らないと私はイヤだった…。
「…ごめ、んなさい…」
「…………何、泣きそうな顔してんだ? 別に謝らなくてもいいさ。気にしなくてもいい」
「………でも…」
銀色のハーフ眼鏡の奥の目が、冷たく感じて怒りが見え隠れして怖い。
気にするなって言うけど、その冷たい怒りに余計に罪悪感を覚える。増幅する罪悪感に、涙が込み上げて来る。
「でも…本当に………、ごめんなさい……」