恋人遊戯
「………もういいって言ってんだけど…」
溜め息を吐かれ、それが私の肩に重くのし掛かる。前の兄さんに似てる…。
思わず後ろに下がってしまい、拍子に先生に腕を掴まれてしまった。
「…せ、先生…?」
「香輝君。向こうの飛行機が今から飛ぶぞ? 写真、撮るんだろ?」
「うん、撮って来る!!」
か、香輝~!? い、行かないでよォ~!?
けど、無情にも香輝は人込みの中へ溶け込んで行って、姿が見えなくなった…。
後に残されたのは、腕を掴まれたままの私と先生だけ…。
一向に手を離してくれない先生が、笑った。
「悪いって思ってるなら、俺が欲しいものを一つもらうからな」
え? と、思った瞬間、腕を強くひかれて…それから、それから…。
訳が分からなくなった…。
目の前の人は誰?
目の前の人は……。
私は…。
私は、誰と…。
誰と……キスしてるの?