恋人遊戯



先輩じゃない人。






先輩とは違うキス。







先輩はタバコを吸わない。







でも、このキスにはタバコの味がする。



先輩とは違う匂い。

微かに香る、薬品の匂い。



……やだ……やだ…。







何がどうなってるのか分からないまま、私はその腕の中から抜け出そうと暴れた。





「な、何で…」






信じられない…。今まで、香輝の病気で面倒うを見てくれる先生だと思ったのに…。


怖いけど、信頼していたのに…こんな、こんな事するなんて…。





後退りして、先生を見上げればニヤリと笑った顔だった。


「ごち」




クシャ…と頭を撫でて、私の前から立ち去った。





先生の後ろ姿をズッと見つめていた私は、少しずつ冷静になる頭の中で整理をする。



< 238 / 283 >

この作品をシェア

pagetop