恋人遊戯



気のせいだと思って、私は溜め息を吐いてお弁当を食べようと、再びお箸を持った。



………………。



「……何ですか…?」

目を丸めて私の方を見る先輩。


「…それ、お前の弁当?」


「……ですけど…」

やっぱ、このお弁当…まずそう…? それとも、変?

ジィ…って見つめる先輩の視線は、お弁当に向けられたまま。



「ちょっと、ちょーだい?」


そう言って、私の掌からお弁当を取り上げられた。



ち、小さい…。



先輩の手の中にあるお弁当がヤケに小さく見える。
私が使ってた赤いお箸を勝手に使っていた…。




男の人が、女の人の使ってるお箸を使うなんて恥ずかしくないのかな…? 赤いお箸なんて…。


「…ぅんまッ!」

「………ぇ……?」



先輩から言われた言葉が、信じられなくてボゥと見つめていた。




初めて言われた言葉…。



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