恋人遊戯
「さ~と~り~? 何で泣くの?」
「先輩、…どうして…そんなに優しいんですか…?」
私の両手を先輩の片手ですっぽりと隠れてしまう。
…こんなにも体格が違う…。
「俺、優しくないんだけどね」
「嘘!」
「嘘じゃねぇって。ってか、嘘ついてどうすんだよ」
眉を潜めて苦笑する先輩は、優しくないとは言うけれど…私の目には優しい人にしか映らない。
「優しいのは里莉とネてる時だけ」
「……なッ!」
何て、こ…こっぱずかしい事をサラリと言えるのよ!
ほ、頬が熱い。
「里莉は俺のモンだって言いたいし、お前に言ってもらいたいんだよ」
「ど、独占欲?」
「そうとも言えるかもね?」
悪戯っぽく笑う先輩に、私は何となく嫌な予感を感じて後ろに身を下げようとしたけど…。
「や…!」
「…ぃやなの?」
すっぽりと抱きしめられた瞬間、先輩の匂いがする。
私とは違う。
一緒に暮らしているけど、匂いだけは全く変わらない。
うっとりとする……。