恋人遊戯

慌てて、辺りを見回して放課後の図書室に誰もいない事を確認する。

本来なら図書委員がいるはず…その委員は、私だから知られる事はない。


……しかし、噂に違う事なく美麗だった。…けれど、私はそれしか分からなかった。



回りの女の子たちが悲鳴を上げて叫んだり「彼にだったら騙されてもイイ！」とか「遊びでもいいから寝たい!!」とか言ってるのを知ってる。


そこまでして得られないモノに必死になる女の子たちが分からない。



先輩がなぜ私を選んだのかが、分からない。…もしかしたら、面白半分で私に近付いているんだろう。

なら、私が先輩を構わなければいい事なんだ。



放課後の図書館にたった一人だけ取り残された私は誰にも聞かれる事はない心音が、室内に響いている気がした。