恋人遊戯



「里莉、行くぞ。お前も来るか?」





「た、太一君!?」


太一君の言葉に私はただただ驚くだけで、先輩がOKを出さない事を祈るばかりだった。


「じゃ、お言葉に甘えて」

ニッコリと先輩は笑顔だけど、何だか怖い…。

太一君も…。


二人の間に挟まれた状態の私は、小さくなるばかりだった。



「里莉。お前は助手席な」


「…え?」


今まで、太一君の車に乗っても絶対に助席に乗せてくれる事なかったのに…。


「今日は特別だかんな?」

ベシッ!!


太一君の得意技。でこピンをくらってしまった。


「あたッ!!」



ボロボロになった私の髪を太一君は悲しそうに見つめた。




< 60 / 283 >

この作品をシェア

pagetop