恋人遊戯
…ヤダな…太一君のせいじゃないのに…。
「俺の知り合いの所でもいいか?」
「…うん。いいけど…」
車に乗り込んだのを確認した太一君はエンジンを掛けて、動き出す。
「学校はどうだ?」
「………別に…いつも通りよ…」
苦々しく太一君を睨み付けていた私は、すぐに顔を逸らして窓からの景色を見つめるしか他なかった。
「……そっか…」
そう呟いた太一君も私も、それ以上何も喋らなくなる。
…いつもならここで太一君と何も喋らなくなっても、息苦しくなる事なんてなかったのに…今日は違う…。
後部座席とは言え、他人…先輩が乗っているからだ。