恋人遊戯
いつもなら何も聞かない太一君が、珍しく音楽をかける事が違和感を増長させるものだった。
「……っと…ここだ」
そう言って、辿り着いた所は、太一君の知り合いの美容院。
閉店の札が出てるけど、構わずに太一君はお店の中へ入って行った。
「ぉ~い。マキ~、いるんだろ?」
太一君の後について、私も中に入ろうとしたら、先輩に腕を掴まれてこれ以上、前に進めなくなる。
「…なぁ…あの太一ってお前の何?」
「はぃ?」
先輩が問わんとしている意味が理解出来ずに、私は彼を見上げた。
「あいつが本命?」
「? はぃ?」
…何、本命って…。
先輩の言ってる意味が分からない。
「どう言う意味ですか?」
首を傾げながら先輩に問うと、案の定何も言わずに視線を逸らされた。