恋人遊戯



「里莉~。準備出来たぞ」





太一君の声で我に返った私は、先輩の側から離れていった。


「…あら、この子が太一の?」

「そ! どうだ?」




キレイな金髪女性だなぁ~って思っていたら、両頬を押さえ付けられてジロジロと顔を観察される。


な、なななな何なんだ?


「私に任せてよ?」

何を任せるんだよ~!!




「取りあえず、先に髪を揃えちゃいましょ。何かリクエストある?」


その問いに、私は言葉に詰まる。だって、もともと切る気なんてなかったし…。
願掛けだったのよね…。


「あの、普通で…目立たないような髪型で、揃えるだけでいいです…」


何だかリクエストを言えるほど、自分に合う髪なんて知らないから言ってると恥ずかしくなる。




「分かったわ。んじゃ、取りあえず私に任せてよ。悪いようにはしないわ! そこの僕ちゃん。雑誌でも見てて待ってなさい!」






ぼ、僕ちゃん!? 先輩が『僕ちゃん』だなんて…。何だか…凄い人だな…。



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