恋人遊戯
「せ、先輩…? 何でここにいるんですか?」
「ぁ、待ってたぞ~」
笑顔で私を見るけど、質問に答えていない。
ムッとして、私は荷物を抱え直すなり先輩の横をすり抜けて歩き出す。
身長差があるから、先輩にはすぐに追いつかれてしまう。
「何の用ですか?」
「香川先生の目の前で『バイトに行く』って、よく言えたよな?」
「……へ?」
マジですか…?
ヤバい。
先生にバレる…自分からバラしちゃうなんて…。
「すんごい度胸だな里莉って」
もう…! 私のバカっ!
自分からバラしちゃうなんて、マヌケにも程があるわよ!!
「…まぁ、先生の弱みも知ってる訳だから? 穏便に話はしておいたから。感謝してくれよ!?」