恋人遊戯
ピピピピ。
「!!!!」
カバンに入ったままの携帯が音を鳴らし出した。
その音に、いち早く反応したのは私だ。
カバンから携帯を出して、着信者を見て少し取り乱しそうになった。
「…はいぃ!? ……ぇ、わ、わかりました!」
慌てながら電話に出れば、向こう側から聞こえて来る声に私は血の気が引いていくのが自分でも分かる。
「わ、分かりました! 今からそっちへ行きます!」
そう言って、私は電話を切るなり、持っていたお弁当を片付けてカバンの中に入れるなり立ち上がって走り出そうとした瞬間…。
先輩がいた事を思い出して足を止めた。
「先輩!! 私、早退しますのでお弁当箱は明日返してくれたらいいので!」
そう言いながら携帯は近くのタクシーを呼んでいた。
どうしよう…。怖いよ…。