恋人遊戯
「…香輝……?」
「……………櫻井!? 何してる! この子供を早くッ!!」
先生の怒号に、呆然と立ち尽くす私を他の看護師たちに追い出されてしまった。
「…香輝…? 起きてよ…香輝!?」
閉ざされてしまった扉の前で座り込み、私は泣きながら祈る事しか出来なかった。
「香輝…。お願い…無事でいて…」
「……里莉」
いつの間にか、私の隣りには先輩がいて…肩を何度も擦ってくれた。
「…どうしよう…。こんな事、今まで…なかったのに……香輝が、香輝…無事でいて……」
小さな祈り。
誰にも聞き入れてもらえない祈りは、どこに行ってしまうんだろうか…。
どうして、私の祈りは聞き入れてくれないんだろうか。
……やっぱり、私は不必要の子供なんだろう。
望まれた訳でもない。