恋人遊戯
私の存在価値なんてものは、最初から、存在しなかったんだもの。
その事に、悲しいなんて別に思った事はなかった。
思ったって仕方ない事だもの…。
だけど、香輝は私と違って望まれた子…。
「香輝…助けて……歩望…さん……」
小さな祈りと小さな声。
私の隣りにいた先輩に聞こえているなんて、思ってもみなかった。
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「……………里莉? 落ち着いたか?」
病室に近いベンチに座って、どのぐらい時間がたったのか分からなくなった時、先輩の優しい声が耳をくすぐった。