恋人遊戯
…ど、どうしよう。
私、先輩にどんな顔して上げればいいのよ…。
何だか、恥ずかしさが先にたって…うぅ…穴があったら入りたいよぅ。
「里莉…?」
「だ、大丈夫です!! すみません、みっともない所見せちゃって…」
涙は、少し前に流し切ったのに…励ましてくれた先輩にいつまでも暗い雰囲気を見せちゃいけないと思って、顔を上げた瞬間…。
ポロッ…と新たな涙が零れ落ちた。
「……や、ヤダな。もう、大丈夫なんですよ?」
ハハハッ! って、笑いながら、零れ落ちた涙を拭ってたけど、何だか言い訳染みた言い方をした気がする。
「…櫻井」
香輝の病室から出て来た先生が、私の方を見ていた。
「…先生…」
「…一応、危険区域は奪回したけど、油断は禁持つ」
先生の話を一字一句逃さないように私は、耳を傾けながらも香輝が無事だった事にホッとして体の力が抜けていく。