恋人遊戯


どう表したらいいのか分からなくて、戸惑うばかりで泣きたくなる。


「…や、やっぱり、私、先輩とは付き合えません。…って言うか、OKした覚えはないですけど…」

「………何だよ…それ…」



ぇ、何? 今の声。



今まで先輩の普通の声しか聞いた事がなかった私には、今の声が先輩から出たのかと思うとなんだか…背筋から冷たいモノが流れ落ちた気がした。



地を這うような声って、こんな風なのかな…。



思わず息を飲み込んでしまった。


この場から逃げ出そうと、後ろに下がっていると突然、先輩が動き出した。


「ッきゃっ…ぁ!?」


腕を掴まえられて、そこから痛みが走った。


痛みで顔を歪めてしまい、その瞬間、体中から震えが私の恐怖を煽る。



「……先輩…。は、離して下さいッ!!」


両腕を掴まれて、逃げられない…。

「…先輩!! 止めて…!!」



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