あたしが恋した総長



優「ありがとう」


龍「あぁ」


頭をポンッと撫でてくれた


そして真剣な顔になった龍毅が


龍「…俺の家のことも聞いてくれるか?」


と不安げに瞳を揺らしながら聞いてきた


優「当然だよ」


少しでも安心させたくて微笑んで言う


それに少し顔の緊張が緩んだ龍毅は話し出した


龍「……俺の親は、極道だ」


優「え?」


極道というのはヤクザってことだよね?


龍「織田組って知らないか?」


優「…知ってるよ」


知らないわけないと思う


この地方をまとめあげている組だ


そりゃもう、有名だよ


龍「それが俺の親の組」


優「え?ということは龍毅のお父さんは組長さん?」


龍「……あぁ」


少しだけ悲しそうな顔をしながら答えてくれた


優「ねぇ、何をそんなに心配してるの?」


龍「………ヤクザってことは汚ねぇ仕事もする。人を殺すことだってある。それが父親だ。そんな家に産まれた俺も跡を継がなきゃならねぇ。まして俺一人しかガキがいないとなればなおさらな……だからお前が…………」


優「龍毅」


龍毅の話を遮って、しゃべるあたし


優「あたしは龍毅の親のことで龍毅の傍にいるんじゃない、好きになったんじゃない。あたしは龍毅自身を好きになったの。家のことなんてどうでもいい。龍毅がヤクザにならなきゃいけないなら、あたしはそれについていくだけだよ。」


龍毅の手を握りながら、少しでもこの想いが伝わってほしいと願いながら言ったあたしの気持ち


親がヤクザだからって関係ない


龍毅を好きになったのに親は関係ないんだから


少し驚いた顔をしてあたしを見ていた龍毅


そして突然笑いだした


龍「はははっ!……やっぱりお前を好きになって良かった」


優「え?」


龍「俺の不安も過去の苦しさも悲しさも、すべて取り除いてくれた。そんな女、お前以外にいねぇよ」


嬉しそうに安心したように微笑んで、あたしを見つめる


優「それはあたしも同じだよ。龍毅に会ってなかったら、人を好きになることなんて知らずに死んでたと思う」


生きた屍のような生き方をしてたと思う


だから龍毅にはほんとに言葉じゃ表現できないくらい感謝してる




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