あたしが恋した総長

はっとしたあたしは

「それはどうでもいいから、理事長室!」

と少し大きな声で言った

「は?お前、俺のこと知らねーの?」

「知ってるわけないでしょ、初めて会ったんだから」

一度会ったことあるなら、忘れないでしょ

こんな綺麗な人

「はっ、お前おもしれーな。理事長室はこの先を左に曲がったとこの突き当たりだ」

「ありがと、じゃあ」

と言って走って行ったあたしの背を見ながら

ふっと笑っている男に、あたしは気づかなかった


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