この手は、わたしだけの特権【短】
ついに頭が壊れたのかと思った。

何も言えず、ジッと優紀子を見つめていると。

「ほんと冗談の通じない妹ねぇ。今日、試供品で配ってたからあんたのも、もらってきたの。これ高いから買えないのよ」

そう言われて受け取ったシャンプーを、じっくり見つめた。

「あ、これ。イケメン俳優がやってるCMの?」
「そうそう!それよ。一回くらい試したいじゃない?」
「うん!ありがとう、お姉ちゃん」

CMを見て一度は使ってみたいと思ってた。

だが、優紀子も言ってた通り学生が買えるような安物ではなく、諦めるしかなかったのだ。

そして、せっかくもらったのだからと、今朝使ってみた。

高いからなのかは分からないけど、いつも使ってるシャンプーよりも香りが良くて、サラサラ度もハンパない。

優梨子は、すっかりお気に入りとなってしまった。
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