この手は、わたしだけの特権【短】
そのシャンプーの香りを、一発で当てたこのオトコ。

暇さえあれば優梨子の髪に指を指し込み、髪で遊ぶ。

こっちはそれだけで、心臓が口から出そうになるってのに。

「なぁ、変えたのか?」
「あ、えっと…。お姉ちゃんにもらったのを使ってみただけで…」
「ふーん、優紀子がねぇ」

“優紀子”と名前を出されるだけで、チクンとする胸の奥。

凌太と優紀子は同級生でもあり、仲も良かった。

昔から自分は妹のように扱われ、オンナとしてなんか見られてなかった。

高校生になって、優梨子はオンナだって自覚してもらう為に、スカートの丈を短くしたり、お化粧も爪にだって気を遣った。

もちろん内面だって磨く為に、毎日自分でお弁当を作ったりもした。

だけど、凌太の態度は変わらなくていつも妹扱い。

隣には、いつもオンナノコがピッタリとくっ付いていて、凌太も楽しそうだった。

「な、んか。オトコを落とせるシャンプーらしいよ?」
「は?」

これくらいのウソ、付いてもいいよね…?
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