風花
昼休み
「紡君!昼休みだよ!」
「うるさい。言われなくてもわかってる」
彼女と握手を交わしてから数時間後。
午前中のカリキュラムは全て終了し、現在、昼休みを迎えていた。
周りを見渡すと、今まで机に突っ伏していた生徒達が、瞳を輝かせ雑談に花を咲かせ、また、早い者は既に昼食を食べ始めている。
誰かが、昼休みは学園生活のオアシスと称したが、正しくその通りだと思う。
それは俺にとってもそうだった。
やっと退屈な時間から解放されて、少なからず嬉しかったりする。
午前中に受けた四教科。その全ての授業が退屈だった。
ここの授業の進行が遅いのか、俺が元いた学校の授業の進行が早いのか。午前中に行われた授業は、どれも一度教わった内容のものばかりで。
“そのせい”で退屈な時間を過ごすことになったんだ。でも“そのおかげ”で、自分で勉強する手間が省けたのだから、複雑なところだ。