風花
「むぅ。ノリが悪いなぁ。もっとこうテンション高く、何!?昼休みなのかっ!?とか言えないの?」
「誰が言うか。阿呆」
俺の声色を真似て騒ぐ彼女に、俺は視線を向ける事すらなく、冷たくそう言い放つ。
彼女と接している内に、彼女が自由人だということを、俺は悟った。
言いたいことは包み隠さず全て口にしている感じだし、自分の思ったことをそのまま行動に移しているように思える。
まあ、周りに迷惑はかけていないみたいだから、実際にはいろいろと考えているのだろうけど。
だけど、それでも彼女が自由人であることには、変わりない。
つまり何が言いたいか。
そんな相手に遠慮していても、馬鹿を見るのはこっちだということ。
彼女は休み時間になる度に、俺に様々な質問を向けてきた。最初の、俺の内心を見透かした時の印象が強すぎたせいか、俺は彼女の質問に意味があると信じ込み、言葉を選びながらも答えられる範囲で答えた。
趣味。好きなもの。家族構成。あらゆることを聞かれた。…元彼女との別れかたに関しては話さなかったけど。
俺の答えに、様々なリアクションをとる彼女。その様子が気になって、一通りの質問に答え、落ち着いたところで聞いてみたんだ。
今までの質問に、何か意味はあるのか?って。
「ん?意味なんかないよ?ただ私が知りたかっただけ」
――それが返ってきた答えだった。