風花


愕然とした。今まで神経を張ってきたことが馬鹿らしかった。そして何より、人と必要以上関わらないと決めていたのに、彼女のせいでクラスメート達に俺の事を話してしまったことに、物凄く腹がたった。

その瞬間悟ったんだ。こいつの相手をまともにしちゃいけないって。

その時以来、彼女の言葉に意味を求めるのは止め、先程のように軽くあしらうことにしたんだ。


「むー。ノリが悪いなぁ。もう少し相手してくれてもいいじゃんかよー…」


ぶつぶつと文句を言いながら、鞄から弁当箱を取り出す彼女。
相手にしないと決めていた俺は、彼女の台詞を当然の如く無視し、自分の鞄から昼食を取り出す――


「それじゃあ紡君。一緒に食べよう」
「なんでやねん」


――ことを止め、当然のように机をくっつけてくる彼女(一時限目にくっつけられた後は、上手く言って離させた)にベタな突っ込みを入れる。
相手にするつもりはなかったのだが、予想すらしていなかった言動に、思わず反応してしまった。
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