風花
図々しく、変な女
「紡君。この唐揚げ貰うね」
「…普通そういうのは、取る前に言うもんじゃないのか?」
「んー、美味しい!」
「……聞いちゃいねぇ…」
――昼休み。
午前中の授業で消費した体力と精神力を養うはずのこの時間においても、俺は心身共に休まることはなかった。
結局、あのあと舞歌の勢いに押され、一緒に昼飯を食べることになってしまったからだ。
多少の抵抗とばかりに、机をくっつけさせはしなかったんだけど…。彼女は椅子を俺の方に向けて座り、先程のように身を乗り出しては俺の弁当箱の中身を奪取していくので、あまり効果はなかったのかもしれない。
…まあ、そのことはもう諦めたからいいんだ。彼女のような自由人に平穏を求めた俺が間違っているのだ。だから彼女のことに関しては、もう、いい。それよりも納得いかないのが…
「あー!いいなー!草部君。私にも!」
「俺にも!」
「僕にも!」
「うるさい!俺の飯がなくなるだろうが!?」
こいつらの存在だった。