風花
堂々と、自分の意見を、正論を口にする舞歌。それは、最初怒った時のような怒声ではなく、幼子に諭すかのような優しい声。そして、浮かべているのは優しい表情。
それ故に――
「…そうですね」
「舞歌の言う通りだな…」
「ごめんね。草部君…」
――それ故に、彼女の言葉に、逆に腹を立てたり、反発したりする者はいなかった。
「紡君。この人達も悪気があった訳じゃないんだ。ただ、興奮して周りが見えなくなっていただけ。だから、許してあげて。これからは、きちんと紡君のことを考えて質問をすると思うから」
「………」
彼等と同じように頭を下げる舞歌。
不思議だった。何故、彼女は他人の為にここまで出来るのだろうか?
そのことが、俺は不思議で仕方なかった。