風花
「気持ちはわかるけど、そんなに簡単にキレちゃ駄目だよ?話し合いで解決することもできるんだから」
「なっ…!?」
彼女の言葉の内容に、目を見張り彼女の顔を見る。
彼女は悪戯な、それでいて優しく大人びた表情で微笑みながら、ゆっくりと自分の席へと身を戻し、ぱちり、と片目をつむってみせた後、戦利品を口へと運んだんだ。
――その瞬間理解した。
彼女が、あのタイミングで怒ったのは偶然でもなんでもなく、俺を庇ってくれたんだって。
あの時、俺がキレていれば確かにもう質問にあうことはなかっただろう。けど、それは同時に、『孤立』を意味していた。