風花
けど、彼女はそれだけのことをしてくれたんだ。だからこれくらいで腹を立ててはいけ――
「あ!この焼売、エビ焼売だぁっ」
「いい加減にしろこのアホ女がぁーーっ!!」
――ないと思っていたのだが、あっさりと限界を迎えたんだ。
「また俺の弁当全部食うつもりか!?お前は!?」
「あ、そしたらまた間接チューが出来る…」
「するかーーっ!!」
計算なのか天然なのか。論点のずれた彼女の発言に、俺は大声をあげてツッコミを入れて。
大声で怒鳴る。行為自体は俺が先程しようとしていたことと同じなのに、何故にこうも居心地の良さを感じてしまうのだろう?
この前と同じように幼稚なやり取りを交わす俺達。
そんな俺達を、周りの人達は、楽しそうに見ていたんだ。