強盗団は月夜に踊る
「じゃぁ、まだ就職は決まってないんだな」
「そうなの。もう、ほんとにやだ。つかれた」
「まぁまぁ、そんなにぐちってもしょうがないって、京子。人生の先輩でもある杏奈さん、何かアドバイスしてあげてよ」遼一が楽しそうに言った。
「何それ…。まぁ、でも就職なんて気にする事無いわよ、京子。私も相当苦労したから」
「そうなんですかぁ?」京子が少し驚きながら尋ねる。
「そうだよ」
即答したのは笹川だった。
「杏奈はホントに決まらなかったよな、就職」
「うるさいわね、あんたに言われるとむかつくんですけど」
「へぇ~、二人って大学時代の知り合いなの?」ナオが突然興味をしめし、言葉を挟む。
「あぁ、同じゼミで研究していた」
「こいつは大学時代から変人だったわよ」
「やっぱり」遼一がそういうと、みんな笑った。杏奈は川瀬の笑顔が作り笑いのように見えて少し怖かった。