強盗団は月夜に踊る
大仕事
夜は更けていく。暗い夜に光る月の光が今夜は少し曇りがかっているように感じる。
遼一は切り出す「笹川さん、そろそろいいんじゃないか?大仕事ってやつの話」
笹川はうなずく。そして、机の下にあった地図を机の上に一気に広げる。
「これがK市の地図だ」
全員の目は地図に集中する。地図には赤いペンで大きな円が書いてあった。
「何?この円?」杏奈が言う。
「これは、俺達が襲ったコンビニをつないだものだ。今日襲う予定の五件目もこの円周上にある」
「へぇ~…なんで?」遼一が尋ねた。
「この円の中心が、次の標的だ。」
全員の目が円の中心を探し動く。
そしてある名前のところで目が止まる。
超高層ビル「フィール・ファイン」
「ここ?もうすぐオープンするっていうビル?」杏奈が指差す。
笹川はうなずく「そうだ。この超高層ビル『フィール・ファイン』が標的だ。ここの最上階にある展望室兼イベントホールで、オープニング企画展として世界中の宝石や絵画が集まる。それを盗る」
「マジかぁ~、激アツだなぁ」遼一は嬉しそうに言う。