涙で育った赤い花
その紙を見た瞬間。
なぜか嫌な予感がして…心臓がひとつ、大きく脈打った。



ゆっくり、それに手を伸ばす。



一瞬、拾おうか拾わないか躊躇した。



……ダメだ。逃げちゃダメなんだ。


…大丈夫―――…



紙を拾って、震える手で恐る恐る開いていく。



“おバカな波琉へ”



半分に折ったところに、そう書いてあった――…
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