個人的事情につき“50センチ以内”禁止

俺は立ち上がり、彼女の隣に座る。

そして。

彼女の頬に手を添えた。





「か、課長…?」

「俺が、何をした?」

「…っ!?」

「見てりゃわかる。お前の不機嫌は俺限定だからな」





そう言うと。

彼女は俺から目を逸らす。

顔も逸らそうとするけれど、それは許さない。





「俺は逃がすつもりなんか毛頭ねぇ。諦めて全部話せ」

「…………」





目を逸らしていても、表情の変化は読み取れる。

泣きそうな、悔しそうな…困ったような顔。

なんで彼女はこんな顔を見せるくせに、理由を言わないんだ…?

言えないようなことを、俺はしたのか?





「…だって、課長が…」





自分の今日一日の行動を振り返ろうとしたとき。

彼女は観念したように口を開いた。




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